Client

組織名
特定非営利活動法人 国際教育eスポーツ連盟ネットワーク 日本本部(NASEF JAPAN)
導入したサービス
Moodle LMS
カテゴリ名
Moodle LMS、コース外販
事業内容
・教育現場の声から作り上げる、eスポーツを掛け合わせた教育プログラムの提供
・教育に興味を持った様々な人が集まり、情報を交換しあえるコミュニティの形成
・DX人材育成に役立つ教育プログラムの開発、グローバル人材育成のための世界との橋渡し
Webサイト
https://nasef.jp/

特定非営利活動法人国際教育eスポーツ連盟ネットワーク日本本部 様

eスポーツを通じて若者の成長と可能性を拡げ、多様化が進む社会で活躍する人材の育成を目指す特定非営利活動法人 国際教育eスポーツ連盟ネットワーク 日本本部(NASEF JAPAN)様。

eスポーツを学習や教育の効果的なツールとして活用し、次世代を担う生徒たちの知能向上や、社会性・情動性を育むソーシャル・エモーショナル・ラーニング(社会的感情学習)などの教育を推進していらっしゃいます。

その取り組みの一環として、子どもたちに人気のゲーム「マインクラフト」を使った高校生向け教材を開発し、NASEF JAPANに加盟する学校等に無償で提供されています。

PBL(課題解決型学習)やSTREAM教育などのアクティブラーニングの実践を促進するために、Moodleをどのように活用しているか、eスポーツ・スカラスティック・ディレクターの坪山様にお話を伺いました。

お話を伺った方
  • 坪山 義明

    eスポーツ・スカラスティック・ディレクター
    NASEF米国 コミュニティー・リーダー

全国540校と連携しeスポーツを通じて学びを提供

― 貴団体について教えていただけますか?

坪山 義明

国際教育eスポーツ連盟ネットワーク(NASEF)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州で設立された教育団体で、現在はジョージア州アトランタに拠点があります。アメリカ本部(NASEF)では、従来型の教科書だけではなく、子どもたちが好きなeスポーツやゲームを使ってSTEAM教育を提供しています。

私たちNPO法人NASEF JAPANはNASEFの理念を基に、STEAM教育やDX人材、グローバル人材の育成を、eスポーツを通じて行っています。本団体の主なターゲットは高校生です。現在、eスポーツ部が全国に600校ほどありますが、そのうち約9割、540校が我々と連携を取って活動を行っています。

― eスポーツの教育的活用について、教えてください。

坪山 義明

NASEF JAPANの目的は、プロのeスポーツプレイヤーを育成することではなく、教育団体として、eスポーツを通じて学びを提供することです。例えば、海外の学生とコミュニケーションを取りながら英語を学ぶなど、学習に繋がる機会を提供することを目指しています。eスポーツにはプレイヤーだけでなく、実況者やコーチ、ウェブサイトやSNSを作る人など、さまざまな職業が関わっており、それがキャリア教育にも結びつくと考えています。

さらに、NASEF JAPANでは独自の教材も作成しています。例えば、皆さんもよくご存知のマインクラフトを活用した教材がありますが、こちらでプログラミングだけでなく、主要な5教科に関連する内容を学ぶことができます。また、探究学習や部活動にも活用できるよう、グループワークを重視した教材も用意しています。これらはすべて無償で提供されています。

― 探究学習の進め方で悩まれている先生も多いと聞きますが、これらの教材はそんな先生方にとっても役に立つのではないでしょうか。

坪山 義明

2022年度から高等学校では総合的な探究の時間が開始され、多くの学校で探究学習が取り組まれていると思いますが、教員養成の段階では探究学習を教わる機会が少なかったため、どうしていいのかわからないという状況が多いのではないかと思います。私も以前は教員だったので、その点は共感できます。他の学校がどういった事例を実施しているのか、知りたいという声も多いのではないでしょうか。

我々はeスポーツを活用した探究学習を行っている学校と連携し、教員のコミュニティを大切にしています。全国の540校の学校の中には、全日制や通信制、高等専門学校、高等専修学校、特別支援学校などさまざまな学校があります。教員同士のネットワークを通じて、情報共有ができることを大切にしており、教材の提供も無料で行っていますが、それ以外にも教員同士のつながりを重視しています。

PBL(プロジェクトベースドラーニング)教育の推進

― 貴団体が推進されている取り組みのひとつであるPBLについてもご説明いただけますか?

坪山 義明

我々は、STEAM教育やDX人材育成、グローバル人材育成を目指す教育方法の一つとしてPBLを採用しています。従来型の教科書を使用したテキストベースの授業を否定しているのではなく、それも確実に必要なものだと思っています。それに加えてeスポーツを通じたPBLを先生方が学び、実践することは、生徒たちが自ら課題を見つけ、学び、考え、そして判断し行動する力を身につけるために重要だと考えています。本部がアメリカにあることを活かして、アメリカの高校や大学で教鞭を取っているKevin Brown最高教育責任者を講師として招き、日本の先生方にPBLの研修を実施し、その教育方法を学んでもらうという取り組みを行っています。全国数か所での研修を企画していますが、すでに実施した研修に参加された先生方からは新たな発見や気づきがあったなど、多くのフィードバックをいただいています。PBL教育教員研修会の詳細はこちら(https://nasef.jp/pbl/)です。(2024年9月現在)

提供: NASEF JAPAN

eスポーツがSTREAM教育の入り口に

― STEAM教育という言葉はよく耳にしますが、貴団体ではロボティクスを追加した「STREAM教育」という表現を使っていらっしゃいますね。

坪山 義明

STREAM教育とは科学・技術・ロボット工学・工学・芸術・数学の6つの英単語の頭文字を組み合わせた造語です。科学・技術分野の経済的成長や革新・創造に特化した人材育成を目的に、科学(Science)、技術(Technology)、ロボット工学(Robotics)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の6つの領域を横断的・総合的に学び課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成を目指します。

eスポーツというと、どうしてもコントローラーを使ってゲームをするイメージが強いですが、我々の団体としては、PCでゲームをすることでSTREAM教育につなげていきたいと考えています。GIGAスクール構想により、子どもたちは小学生からタイピングを学ぶ環境が整っています。ゲームでキーボードやマウスを使うことを通じて、STREAM教育のきっかけを作れればいいと思っています。いきなりロボット工学に進むわけではなく、まずはeスポーツでパソコン操作に慣れ、そこを起点として将来的にはさまざまな分野に興味を広げてもらいたいと考えています。私たちはその入り口を提供したいという考えから、STREAM教育を推進しています。

提供: NASEF JAPAN

eスポーツやゲームが持つ大きな可能性

― 私の子どもたちもマインクラフトが大好きで、お友達とオンラインで通話しながらワイワイやるのも楽しいと言っていました。eスポーツはコミュニケーション能力の向上に役立つのではないかと思いますが、その点はいかがですか?

坪山 義明

はい、そうですね。ゲームというと一人で黙々とやっているイメージがあるかもしれませんが、今のゲームはヘッドセットを使って、オンライン上でコミュニケーションを取りながらゲームを進めることが多いです。例えば、「こっちに行く」「右に行く」「自分が攻めるから守ってね」といったようなコミュニケーションを取りながら、チームスポーツに近い形で進行します。我々はマインクラフトを使ったワークショップも行っています。

一人で何かを建築するのも楽しみの一つですが、グループで一つのものを作り上げる際には、ビジネスで使われるPDCAサイクルを自然と子どもたちが回していることがあります。例えば、最初はプランAで進めていたけれど、時間の都合や他の要因でプランBに変更する、というようなPDCAサイクルをゲーム内で無意識に回しているんです。

授業で「PDCAサイクルを回しなさい」と指導すると難しいかもしれませんが、好きなことをしているうちに自然とそのプロセスを実行しているんです。それを後から「これがPDCAサイクルなんだよ」と教えることで、ゲームの経験が他の活動に役立つことに気づかせることができます。

こうした活動は、最初から意識してできるものではないですが、好きなことや興味があることに関わることで、発言しにくい子でも積極的に発言するようになるケースが多くあります。現場の先生方からも、そういった子どもたちの変化をよく聞きますし、eスポーツやゲームには大きな可能性があると感じています。

― 体験の中から学べるのは素晴らしいですね。体験を学習と結びつける部分で先生が果たせる役割は大きいかも知れません。

コロナ禍に生徒からのことばで気づかされたこと

― 教育現場では、どうしても「ただのゲーム」という見方をされることもあるのではないかと想像します。先生方のマインドセットが大事だと思いますが、貴団体の取り組みとして何か進めていることはありますか?

坪山 義明

もともと私自身、保健体育の教員だったので、全く逆のところからeスポーツに関わるようになったと思っています。フィジカルスポーツは体を動かすのが主ですが、eスポーツでは自分が動きませんので。

実は私自身の考えが変わるきっかけがありました。コロナ禍の時に、保健体育の授業をオンラインで行うように求められた時、正直どうやって体育の授業をオンラインでやるのか全く想像がつきませんでした。そんな中、生徒から「eスポーツは今後の保健体育の新しい教材になるのではないか」というコメントをもらったんです。その時、私は良い意味でショックを受けました。

私自身、体育やスポーツは体を動かすものだと思っていましたが、生徒たちはすでに私が考えていた一歩先を行っていたんです。そこで、私は教員として自分をアップデートする必要があると感じました。生徒たちは常にアップデートされているので、私は彼らと伴走する形で支えたいと考えています。

教員として、全てを知っていなければならないという感覚があるかもしれませんが、先を歩く必要はなく、生徒たちと伴走し、後ろから支えてあげることが大事だと思います。eスポーツに関しては、生徒の方が上手ですし、彼らはすぐに新しいことを吸収します。先生方が無理にeスポーツを学んで上手くならなければならない、というプレッシャーを感じる必要はありません。

そんな経験もあり、我々は、eスポーツに関わる先生方に向けてマニュアルを作成しています。現在、eスポーツ部やサークルを立ち上げたいという学校が多いので、加盟校の先生方の事例を集めて、部員の活動内容や使用するゲーム、パソコンの性能など、具体的な情報を提供しています。

また、ゲーム依存症についてもよく話題になります。我々は臨床心理士の協力を得て、ゲーム依存症に関する動画も作成しています。依存症になる前にはさまざまな兆候が見られるため、それを大人が見逃さないように注意することが大事です。実はeスポーツを学校でやっている子どもたちが、家でもずっとゲームをやり続けるというケースはほとんど聞いたことがありません。

なぜなら、彼らは自分たちでルールを決め、しっかりと規律を守っているからです。学校の先生が「1時間だけ」「家に帰っても30分だけ」と決めるのではなく、部員や家族、学校とのコミュニケーションを通じて、お互いに納得したルールを作ることが重要です。

こういったコミュニケーションを育むツールとして、eスポーツやゲームは大きな可能性を持っています。我々はそのためのマニュアルや研修動画を提供し、先生方が伴走しながら生徒とのコミュニケーションをより深めていくよう、サポートしています。

EL社のMoodleを導入した理由

― 当社のMoodleをお選びいただいた理由を教えてください。

坪山 義明

我々は年々、加盟してくださる学校が増え、現在では約540校と連携しています。この増加に伴い、学校とのコミュニケーションをどのように取るべきかという課題が浮上しました。これまではイベントやセミナーの案内をEメールや手紙で行っていましたが、会員登録していただいた方々にもっと直接的に情報を伝えるためのプラットフォームを探していました。

その際に御社のMoodleに出会い、多くの学校が導入していること、そして先生方や生徒にとって使いやすいツールであることを確認しました。私たちにとっても使いやすいだけでなく、特に先生方にとってわかりやすく、使いやすいプラットフォームが必要だと考え、教育現場で実績のある御社のMoodleを採用させていただきました。

― ありがとうございます。コミュニケーションツールとしてのプラットフォームをお探しだったということですね。

坪山 義明

はい、最初はイベントの告知をメインに考えていたのですが、実際には研修動画や教材資料が増えてきました。また、先生方とのコミュニケーションも取りやすくなり、今後、Moodleを使ってオンラインでの授業やセミナーも広がっていくと感じています。そういった理由でMoodleを活用させていただいています。
実際に御社のMoodleはカスタマイズもしやすく、学校の先生方にとっても利便性が高いと評価されています。まず会員登録を通じて、会員IDやパスワードでアカウントがしっかり管理されている仕組みが、信頼性を高めているというお声をいただいています。また先生方がすぐに必要な情報にアクセスできる点や、フォーラム機能を活用することで、掲示板のような形で他の先生方とコミュニケーションが取れる点も評価されています。メールのやり取りよりも、気軽に質問や回答ができる環境が整っているので、先生方からも良いフィードバックをいただけます。

会員登録無料。「マインクラフト」を使った独自の教材なども無償で提供し先生方を支援。

― Moodleとゲームを組み合わせた取り組みについて教えてください。

坪山 義明

我々はゲーム「マインクラフト」を使用した、主要五教科の授業で活用できる「CLASSCRAFT」や部活動や総合的な探究の時間に活用できる「CLUBCRAFT」という独自の教材を開発し、無料で提供しています。それらもすべてMoodleに入れており、先生方は簡単にそれらにアクセスしでき、それらを使用して自由に授業を行えるようにしています。

「マインクラフト」というみんなが知っているゲームを入り口としてPBL・STREAM教育を促進し、NASEF JAPANの理念である「DX人材育成」の推進を目指しています。

今後、先生方からのフィードバックや授業の事例もMoodle内で共有されるようになると、さらに活発な交流の場になると思います。先生方が我々の教材を使って授業を行い、その授業を動画で撮影していただくことで、他の会員の参考にできるという構想も練っています。

提供: NASEF JAPAN

― ありがとうございます。非常に良いLMSの使い方だと思います。YouTubeに動画を上げるだけではなく、インタラクティブなコンテンツ提供とフィードバックを通じて、さらに良いものを生み出していけるのがLMSの最大のメリットですね。

坪山 義明

おっしゃる通りですね。

― eスポーツを通じた教育活動の今後の展望をお聞かせください。

坪山 義明

今後も引き続き、会員の先生方とのコミュニケーションを取りやすくしていくのはもちろん、教材もどんどん増やしていきます。また、オンラインや動画を使って、会員の先生方だけが見られる特典映像やセミナーの動画なども作成していきたいと考えています。

我々のホームページには、会員限定のページがあり、そこに教材やイベント情報、動画などを提供しています。これからもそのような会員専用コンテンツを充実させていくことで、より多くの情報をお届けできるようにしていきたいと思っています。

すべてのコンテンツは無償で提供しており、今後もその方針は変わりません。我々は全国の先生方とつながり、直接コミュニケーションを取ることができる場を提供していきます。

EL社のサポートは良かった点しかないといっても過言ではありません

― それでは、当社のサポート体制について良かった点、悪かった点がありましたら教えていただけますか?

坪山 義明

はい、もう良かった点しかないと言っても過言ではありません。最初は何をどうすればいいのか分からないことが多かったのですが、担当の方が非常に丁寧にサポートしてくださいました。メールでのやり取りも迅速で、すぐにお答えいただけるので、サポート体制には大満足しています。悪い点は特にありません。

― ありがとうございます。ご満足いただけているようで、とても嬉しいです。何かご要望がありましたら、例えば「こんな機能があったらいいな」とか「こういうサービスがあったらいい」というものがあれば教えていただけますか?

坪山 義明

はい、こういったインタビューを受けたのは初めてだったのですが、他の団体や企業がどのようにLMSを活用しているのかという事例には非常に興味があります。特に連盟のような団体がどう活用しているのかを知ることで、参考になる部分が多いです。

Moodleを使っているユーザ同士でコミュニケーションが取れたり、「こういう使い方もあるよ」という情報を気軽に共有できる場があると、現場でのやり取りも活発になり、より良いものが生まれるのではないかと思います。

― ありがとうございます。実は、私たちもカスタマーサクセスチームを立ち上げており、ユーザ同士のコミュニティ作りについても検討事項として挙がっております。より良い情報を共有しやすくするための取り組みを進めていきたいと思います。
また、Moodle HQ(本部)が運営しているMoodleNetを利用すれば、コンテンツを無償で提供したり、販売することが可能です。eスポーツ関連のコンテンツもグローバルですでに提供されている可能性がありますし、日本からの発信もあると素晴らしいなと感じました。あとで詳細についてご紹介させていただきます。

坪山 義明

ありがとうございます。

― 坪山様のお話を伺い、eスポーツを活用した教育が自分の子どもたちにもぜひ受けさせたいと感じました。この素晴らしい取り組みがさらに広まり、より多くの子どもたちに届くことを心から願っています。今後のご活動も応援しています。
本日は貴重なお話をたくさん聞かせていただき、誠にありがとうございました。

坪山 義明

こちらこそありがとうございました。

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